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2010/08/20

Cognitive Surplus

Democratizing Innovationよりも広い範囲で,なぜ時間が余るようになったのか,社会はどうやってその力を使うべきなのかを説いています.

メディアに関する話が多めで,イノベーションへの参加のような,目的を持った人達の積極的な行動に関する話よりも,偶発的な協調行動がなぜ一般人を大規模に巻き込めるようになったか,なぜそんなことが起こるようになったか(むしろなぜ今まで起こらなかったか),どうすれば社会のためにその力を使えるか,に焦点があります.

決められた目的があってそのための集団を作る,というのではなく,大きな集団が作れるようになったけど,それをどんな目的に向けるべきか,という順序.

しかしDemocratizeing~と被っている内容もそこそこあったので,少し損した気分...
とりあえず著者のTEDでの講演を見れば一部雰囲気が掴めます.



学んだこと
一人で一生頑張るよりも,一万人が一日行動を起こしたほうが遥かにインパクトのあることができる.(少なくとも社会的な活動においては)
内的要因から来るモチベーションが大事
ある目的をもって集まった集団が,集団のメンバーを満足させるために本来の目的を見失うことがある.集団を拡大するにあたってはルールを守らせるためのカルチャーが必要.
便利さと不便さが社会を作る.技術によって不便さが取り除かれれば,今まで当然と思っていた社会の常識がひっくり返ることもある

2010/08/08

Democratizing Innovation

0$ & Amazon.comの評価が高い,前期の授業でイノベーションに関する講座を受けていたので読んでみた,という感じでしたが,期待以上の内容でした.

内容と感想
イノベーションは研究室で起きてるんじゃない,現場で起きてるんだ!
という本.ニーズを正確に伝えるという事は非常に難しいので,何かを作ってそれを売ることで利益を得る生産者ではなく,作った物を使うこと自体で利益が得られるユーザがイノベーションを起こすのだとか.だから生産者にイノベーションを起こすためのリソースを集中させるのは非効率的で,もっとユーザによるイノベーションを促すようなシステムを企業や国は取らなければならない云々.

内容,書き方共に手堅い教科書的な印象.MITの教授が書いてるからでしょうか.
0$だから,ではなく十分内容的に勧められる本です.

しかしこんな本がただで読めるとはいい時代だなぁ.

2010/08/01

Secrets of Mental Math

読了.こんな怪しげな本をパッと買ってしまうのも電子書籍の魔力でしょうか.
捨てる心配をしなくていいというのは恐ろしい...
しかし内容は良かったです.Amazon.comで☆が4.5なのも納得でした.

内容と感想
最終的な目標は5桁×5桁の計算を暗算ですることです.
そのために2桁の足し算,引き算,掛け算から計算上の工夫について説明があり,3桁×2桁,3桁×3桁と問題が複雑になっていきます.途中割り算や分数についてもカバーしていますが,メインは掛け算です.

紹介している方法に特にトリッキーなものはありません.知っているもの,むしろ常識と思うものも多いかもしれません.方法をポンと紹介する本ではなく,一見不可能に見える5桁×5桁の暗算も,使う方法を選んで問題を分解していけばちゃんと解ける,ということを順を追って紹介する本,と言えるでしょうか.丁寧に,演習を挟んで少しずつ進むので本当にいずれできるようになれる気がしてきます.読んですぐには絶対に無理です.

ちなみに計算途中の値を覚えておく方法というのも紹介されます(が,英語の発音を基にした暗記方法なのでとっつきにくいです.いまだになかなか上手くできません.).個人的に暗算する上で一番難しいところはここです.そもそも暗算をしていると元の問題を忘れてしまいます...練習あるのみですね.

Amazon上のレビューでは受験生にオススメ,といったコメントが多いですが,間違いありません.ただ,受験とは縁のない大人も楽しめると思います.できて当たり前の計算の反復作業よりも,きっと頭が鍛えられるはず.

Kindle Booksで買う場合の難点
数式がかなり小さいです.Nexus One上のKindle for Androidだと分数はぎりぎり見える程度.iPadでも読みにくいくらい.また,途中である演習の答えは巻末にまとめられている為,ジャンプするのが少し面倒です.

2010/07/23

Food.Inc

Food.Incを読み終わりました.電子書籍3冊目.
映像作品の方は見てないです.トレイラーだけ見ました.30秒くらいのところの鶏の成長が恐ろしい...



内容と感想
食品産業に関する包括的な話です.現代食品の健康に対する影響,遺伝子組換え技術の功罪,大企業による農家の搾取,農薬の影響,違法移民の増加,食品業界の政治に対する影響力,家畜に対する非人道的な扱い,食糧危機,温暖化への影響とかとかとか.

何らかの食料問題について興味がある人はもちろん,健康的な食生活に切り替えたいと思っているけど意思が弱くて続かない,という人が読むと効果があるかもしれません.肉や農薬漬けの野菜,ファストフードを食べることが,個人の健康だけでなく地球環境や貧困問題に影響を与える,という考えを植え付けられて,無駄食いする気がなくなります.

第一章はこのドキュメンタリーを作った経緯について.前書きみたいな部分だけど結構長い.

第二章は一つのテーマを一人,もしくは一組織が取り上げて,現状の問題と解決策を提示する形式.この本のメインパートで,内容は濃い.いちいち著者や組織の紹介が入るのが難点.解決策の方はオーガニック食品を選ぼうとか,肉の消費を減らそうとか,同じ内容の場合も多い.

第三章は,特定の問題を取り上げずに,これからどうすればいいかについて何人かの著者が書いている,まとめみたいなパート.

食糧問題に付いて書かれた本を読むのは初めてなので比較はできませんが,包括的にいろいろ学べていい本だったんじゃないかと思います.

2010/07/19

Born to Run

Born to Runを読み終わりました.電子書籍2冊目.
前半は分からない単語が多くてPCの前で読むという悲しい事態に(出先ではKindleではなくKindle for Androidなので内蔵辞書がない).後半30%くらいでようやく辞書なしでも快適に読める程度に分からない単語が減りました.うーん,まだまだ勉強が足りない...
人名と地名がたびたびよくわからなくなったので,Kindleに,単語レベルでのメモ書きではなくて,全体用のメモ書きが欲しくなりました.登場人物リストとかを作りたい.

内容と感想
なぜ人は走ると怪我をするのか?
なぜより栄養のある食事,より良い靴が手に入るようになっても怪我をする人は減らないのか?

こんな疑問を持ち,自身もたびたびランニングによる怪我に悩まされていた著者による,ウルトラランナー達の物語.

この本の面白いところは科学とか,人類学の話を添えて上に挙げた「なぜ」の部分を解説しつつ,レースとランナーを中心に話が展開するところ.ノンフィクション小説.細かい心情描写とかはフィクションかもしれないけれど,ノンフィクションなんてそんなものだと思う.たとえフィクションだって別に構わないんです,面白かったので.

どうやって走るのか,を知りたいなら,もっと実践的で参考になる本はたくさんある.というより,いきなりこの本に出てるランナーの真似をしようものなら間違いなく怪我すると思う.参考になる部分はあるけど,How to Runという本ではない.そうではなくて,なぜ走るのか,なんのために走るのか,を感じられる本.

ランニングに限らず,「~のために仕方なく」運動しているという感じがしたら読んでみるといいと思う.